米SECがロビンフッドにも法的措置へ

去年以降多くの仮想通貨企業に対して提訴などを行ってきた米SECだが、先週末にスマホ証券会社のロビンフッドにも仮想通貨業務に関して法的措置を取る用意があるとの警告文を送付した。SECの仮想通貨業界への攻撃は止まらない。

2020年にはリップル提訴も

　アメリカの証券当局であるSEC（証券取引委員会）は、2023年以降に多くの仮想通貨企業に対して提訴など厳しい法的措置を取ってきた。このような行動を取るようになった大きな理由と思われるのが2022年11月のFTX破綻だ。

　2020年末にはすでに仮想通貨リップル（XRP）の運営企業を提訴していたが、特にFTXの破綻以降は仮想通貨業界に対する攻勢を強めている。

　そして先週末になり、SECはスマホ証券会社のロビンフッド（銘柄コード：HOOD）に対し、今後法的措置を取る用意があるとの警告文書を送付していたことが明らかになった。理由はロビンフッドが扱っている仮想通貨の一部が有価証券に該当するにも関わらず、有価証券の売買に必要な手続きを取っていないというものだった。

　ロビンフッドはスマホで株式などの売買ができる証券会社として2013年に創業され、若年層を中心に顧客を伸ばしていった。ロビンフッドの売りは手数料無料で取引ができる点だが、それは個人顧客の売買情報を機関投資家に販売して利益としていることで可能になった。

　2021年初頭にアメリカのゲームソフト売買企業ゲームストップ（銘柄コード：GME）株が、ネット上で買いを呼び掛けられたことで暴騰。この時ロビンフッドが突然ゲームストップ株の購入に制限をかけたことはかなり批判を浴びた。このような事件もあったのだが、ロビンフッドは2021年7月にNASDAQに上場して現在に至る。

　SECの警告に話を戻すと、SECは警告後に何らかの改善措置が取られないなら、今後は業務停止や利益の返還命令などを出すと警告している。しかしそのような命令が出されてもロビンフッドは黙って従うのではなく、おそらく提訴して法廷闘争に持ち込むだろう。

　SECは昨年から米の大手仮想通貨取引所のコインベース（銘柄コード：COIN）や、世界最大級の取引所であるバイナンスなど多くの仮想通貨関連企業に対し提訴などの攻勢を強めてきた。

　このようなSECの行動に対し仮想通貨業界は反発しているが、今回のロビンフッドへの対応を見る限り攻撃の手を緩めるつもりはないようだ。そして昨年末には、2022年5月に破綻したステーブルコイン・テラ（UST）の運営元企業と創業者を提訴していた裁判で勝訴した。

　アメリカにおけるSECと仮想通貨業界との戦いは今後もまだまだ続くだろう。