政府が金融所得の保険料課税を検討

政府が25日に、現在は必ずしも健康保険料の算定に使われていない配当など金融所得の保険料課税を検討開始と発表した。これが実施されれば、配当などを受け取った場合に保険料が増えるケースもありえる。

現在は未申告なら保険料なし

　政府が25日に、現在は必ずしも健康保険料の算定に使われていない配当など金融所得の保険料課税を検討開始と発表した。

　とはいえこの案件はまだ不明な部分が多い。まず「金融所得」という言葉が使われており、かつ配当と言われているが、実際にはどこまで対象になるかはまだ正式に決まっていない。

　現在の金融所得は多岐にわたる。今回の検討で確実に含まれそうなのは株式の配当や銀行利子など。しかし株式には配当だけではなく、売買益もある。またFXを含めた先物の売買益もあるし、さらに最近は仮想通貨の収益も金融所得として確立された。

　あらゆる金融所得が対象だとかなり広範囲になるが、現時点ではまだわからないのでここではともかく配当を対象だとして話を進める。

　配当の所得は基本的には証券会社で受け取り時に源泉徴収され、20％の税金（プラス少額の復興特別税）が引かれる。株式の売却益の場合、特定口座（源泉徴収あり）の場合のみ源泉徴収され、特定口座（源泉徴収なし）や一般口座ではされない。しかし配当はどの口座でも基本的に源泉徴収されて確定申告は不要になる。

　配当所得があって確定申告するのは、他の金融関連所得と損益通算をするなど限られた場合のみになる。しかし現在の健康保険、特に自営業が加入する国民健康保険の算出には、確定申告された所得のみが利用される。

　つまり配当所得を確定申告した場合は国民健康保険料が増えるが、しないと保険料は配当所得がなかった場合と同じになる。これが不公平だと判断され、政府は確定申告しない配当所得にも健康保険料を適用する方向を検討し始めたようだ。

　ただし会社員が加入している社会保険だとまた話は別になる。社会保険は会社からもらっている給与のみによって決まり、株の売却益や配当などがあり確定申告したとしても保険料に変更はない。

　今回の金融所得への保険料適用は、このような社会保険加入者にも適用されるのかどうかまだ不透明な状態にある。

　実際にどの範囲の金融所得まで対象になるかはこれからの政府の発表を待つしかないが、実施されれば実質的に保険料の増税になることは確か。岸田政権になって嵐のように増税が行われているが、また1つ新たな増税案が出てきたと見てもいい。