今年も日本は低成長で終わる見通し

2024年もすでに5月だが、最近出た日本の今年第1四半期成長率の民間予想平均値は、前期比年率1.8％減とマイナスが予想されていた。そして4月時点におけるIMFによる2024年の成長率予想も0.9％増と非常に低い。日本はおそらく今年も低成長で終わるだろう。

デフレ脱却も低成長は抜け出せず

　2024年もすでに5月の連休を過ぎ中盤に入っている。最近になって今月発表される日本の第1四半期（1～3月期）GDPの民間調査機関による予想値が出た。10社の機関が予想した平均値は前期比年率1.8％減で、かつ10社全てがマイナス成長を予想しておりプラスの予想はなかった。

　一方IMFは4月時点における日本の2024年（1～12月の暦年、以下全て同じ）成長率見通しは前年比0.9％増と低い数字を出している。

　第1四半期のGDP速報値は今月中旬に発表される予定になっており、発表のわずか10日ほど前に出された今回の予想はかなり実態に近いと思われる。一方IMFの予想は今年全体でありまだまだ先は長いので、今後大きく変わる可能性もある。

　しかし日本は今年も低成長から抜け出せそうにない。最近の日本はマイナス成長が全く珍しくなくなっている。2023年はマイナス成長が4四半期中1回（速報値時点では第4四半期も入れて2回）、2022年は2回、2021年は2回、2020年は1回と、年4回の四半期のうち1～2回は必ずマイナスがある。

　そして年間ベースで見ても、2022年は1％、23年は1.9％、そして24年見通しは0.9％と低成長が続いている。そもそも21世紀になってから日本の成長率が2％を大きく超えたことはほとんどなく、あったとしても前年の低成長の反動であるケースが多い。

　21世紀で日本の成長率が2％以上だった年を見ると、2004年2.2％、2010年4.1％、2013年2％、そして2021年2.6％の4回だけであった。このうち2010年は前年2009年がリーマンショックの影響で－5.7％、2021年の前年2020年はパンデミックの影響で－4.2％と大きく落ち込んだ反動であった。

　21世紀になって日本はほとんど成長できないまま「失われた30年」と言われるようになった。ここで「30年」と言われているのは、1980年代まで日本は順調に成長していたからだ。当時は1985年5.2％、そしてバブル経済だった1988年6.7％、1989年4.9％と、現在の日本では考えられない成長率を出していた。

　しかし1990年にバブル崩壊が起こってから、日本は低成長しかできなくなり1990年代～2010年代の30年間が「失われた30年」と言われるようになった。この言葉は「本来起こっていたはずの経済成長が失われた」という意味を含むが、実は失われたのではなく最初から存在しえなかったのではないかとも考えられる。

　2013年に開始されたアベノミクスは、「デフレが日本経済低迷の元凶であり、金融緩和をしてインフレにもっていけば日本はまた成長できる」という理論に基づいていた。だが現在デフレではなくなっても日本は低成長から抜け出せず、高齢化と人口減少もあり今後力強い成長を期待することは難しい。